クォーツ(Quartz) ・クォーツ腕時計・クォーツショック

クォーツとは直訳すると水晶という意味の英単語である。
腕時計を語る上で用いられる場合はクォーツという言葉自体がクォーツ腕時計という意味を含むようになる。

腕時計をはじめとした時計は、針を動かす際にある一定のリズムを刻む動力が必要となる。
オールドウォッチでいう振り子の部分がそれに当たるのであるが、かつては腕時計としてコンパクト化するにあたり、振り子の部分をテンプと呼ばれる部分を振り子の代用として振動させて動力としていた。

しかしながら、腕時計のケース内という限りのあるスペースにおいては十分な振動を得られるほど大きな装置が置けず、どうしても腕時計に誤差が生じていたのである。

水晶という物質は電流を流すと、ある一定のリズムで超高速に振動するという性質を持っている、このことに目を付けて多くのメーカーが水晶を動力に組み込んだ腕時計の開発に着手したのである。
そして1969年に日本のセイコーによってクォーツ腕時計は実用化され、瞬く間に腕時計業界を席巻したのである。
空前のクォーツ腕時計のブームの前に、それまでの機械式の腕時計を手掛けてきたブランドは極度の経営不振に陥り、多くの伝統的な腕時計ブランドが次々と姿を消したのである。

クォーツ腕時計の発明によって機械式腕時計業界が大きな危機を迎えた事例を「クォーツショック」といい、機械式腕時計がかつての勢いを取り戻した今でも語り継がれている。

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